ストーカー規制法改正の変遷とGPS調査への影響
2021年改正 — GPS取り付けの明確な違法化
2021年(令和3年)のストーカー規制法改正により、相手の承諾なくGPS機器を取り付ける行為、および位置情報を取得する行為が「つきまとい等」の定義に追加され、明確に禁止されました。この改正以前は、GPS取り付けそのものを直接規制する条文がなく、グレーゾーンとして扱われるケースもありましたが、改正後は探偵・一般人を問わず、無断でのGPS取り付けはストーカー規制法違反(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)に該当します。
さらに、GPS取り付けの過程で敷地内に立ち入れば住居侵入罪(刑法130条)、車両への設置で傷をつければ器物損壊罪(刑法261条)が併せて成立する可能性もあります。
2025年12月改正 — AirTag等の紛失防止タグも規制対象に
2025年(令和7年)12月に公布された最新の改正ストーカー規制法では、従来は法の網の目をすり抜けていたBluetooth方式の紛失防止タグ(Apple AirTag、Tileなど)を用いた位置情報取得も規制対象に加わりました。これらのデバイスは衛星GPS信号ではなく、周囲のスマートフォンのネットワークを介して位置情報をサーバーに送信する仕組みですが、結果として対象者の居場所を把握できる点で実質的にGPS端末と同等であると判断されたためです。
また、この改正では画期的な制度として、警察本部長が探偵業者に対して「ストーカー加害者への情報提供を禁止する」よう要請できる権限が新設されました。これは、ストーカー加害者が探偵を利用して被害者の居場所を突き止めるケースが社会問題化していたことを受けた措置です。
夫婦間のGPS調査は許されるのか
浮気調査の相談で最も多い疑問のひとつが、「自分の配偶者の車にGPSを付けるのは合法ではないか」というものです。確かに、名義が共有の自家用車であれば「自分の財産だから問題ない」と考える方もいるでしょう。しかし、現在の法律のもとでは夫婦間であってもリスクが非常に高いのが実情です。
ストーカー行為認定のリスク
ストーカー規制法は「恋愛感情やそれに類する感情に基づく行為」を対象としており、配偶者間の行為も対象になり得ます。実際に、配偶者によるGPS監視がストーカー行為と認定され、接近禁止命令が出された判例も報告されています。
違法収集証拠として排除されるリスク
たとえGPSで配偶者の浮気の証拠となる位置情報を取得できたとしても、裁判の場で「違法収集証拠」として証拠能力を否定される可能性があります。違法な手段で得た証拠は、民事裁判においても裁判官の心証を著しく害し、有利に働くどころか逆効果になるケースがあります。
探偵が依頼者にGPS設置を促す手法の問題
一部の業者は、自らの手を汚さないために「依頼者自身に共有財産の車両へGPSを取り付けさせる」手法を提案することがあります。しかし、これは依頼者に違法行為を行わせることにほかならず、そのような手法を提案する業者は信頼できません。探偵業法では、他の法令に抵触する業務を行うことが禁じられており、間接的な違法行為の教唆も問題視されます。
合法的な浮気調査の手法とは
GPS調査が事実上不可能になった現在、信頼できる探偵事務所はどのような手法で調査を行っているのでしょうか。
尾行・張り込みによる実地調査
最も基本的かつ合法な調査手法が、複数の調査員による尾行と張り込みです。対象者の行動を直接目視で確認し、高性能カメラやビデオで証拠映像を撮影します。近年は暗視カメラやデジタル技術の進展により、夜間や暗所でも鮮明な証拠映像を記録できるようになっています。
公開情報・データベース調査
SNSの公開投稿、不動産登記情報、商業登記情報など、合法的にアクセスできる公開情報を活用した調査も重要な手法です。AIによる行動パターン分析を導入している事務所もあり、調査の効率化が進んでいます。
聞き込み調査
近隣住民や関係者への聞き込みも、プライバシーに配慮した範囲で合法的に行われます。ただし、対象者本人に調査の存在が知られないよう、慎重な配慮が求められます。
探偵にGPS調査を依頼する際の流れ
現在の法律に則った正しい調査依頼の流れを理解しておきましょう。以下のステップで進めることで、違法な調査を避け、有効な証拠を得ることができます。